乳腺領域の超音波検査
乳腺超音波検査(乳腺エコー)とは
乳腺用の超音波診断装置を用いて、しこり(腫瘤)が良性か悪性か調べる検査です。超音波がしこりの内部を通過するとき、乳房の線維部分では大きく吸収され、水分の多い部分では吸収されにくいので、その差によってしこりの陰影像が描き出されます。
良性の乳腺症やしこりのようなものから、乳がんまで、早期に発見することが出来ます。
乳腺超音波検査はマンモグラフィー(乳房X線検査)では分かりにくい、若年者の乳腺などには特に有効です。乳房を圧迫する必要がなく、痛みも全くありません。
また、超音波を使用しているためX線のような被爆はありません。したがって、妊娠中の方でも安心して検査を受けることができます。最近では女性の臨床検査技師も増えてきています。
どのように行なうのか
服を脱いでベッドの上で仰向けになり、検査する側の腕を頭側に上げた状態になります。
超音波の伝導をよくするため、胸に温かいゼリー状の液体をぬります。超音波の発信機能と受信機能をもつ探触子(プローべ)を乳房にあて、横に滑らせ、また上方から下方へと滑らせて、反射してきた断層面のエコー(反射波)を、モニターに写し出します。検査時間はおよそ15分です。
検査結果の判定
乳がんの場合はしこりに凹凸がある、しこり内部に不均一な濃淡が確認できる、などの形で現れます。乳腺線維腺腫の場合は、境界がはっきりして内部が一様の濃度に見え、乳腺症の場合は、しこりの境界が不明瞭に見える、などの違いで判断できます。
この検査とマンモグラフィーでおおむね診断が可能ですが、確定できない場合や、さらに詳細な病状を知りたい時は、マンモトーム生検や乳管内視鏡検査を適宜行います。
異常な場合に疑われる病気
乳がん、乳腺症、良性腫瘍など
腹部領域の超音波検査
腹部領域の超音波検査とは
超音波は人間の耳には聞こえない高い周波数の音波で、一定方向に強く放射され直進性が高いという性質があります。これを利用して腹部に超音波を発信し、そこから返ってくるエコー(反射波)を受信し、コンピュータ処理で画像化して診断するのが腹部超音波検査(腹部エコー)です。
組織の組成によってそれぞれ基本的なパターンがありますが、腫瘍、ポリープ、炎症、結石などは周囲の正常な組織と組成が異なるため、超音波画像では、正常な組織との境界にコントラストが生じます。そのコントラストから、医師は異常が生じていることを見つけ出すのです。
超音波検査では、腫瘍などの有無だけでなく、その大きさや深達度(どのくらいの深さまで達しているか)も調べることができます。また、映し出される画像は、臓器がリアルタイムで動いて見えます。そのため、検査のための組織を採取したり、臓器の位置を確認しながら治療を行うときに使われることもあります。
さらに、この検査はX線検査のように放射線被爆の心配がなく、検査を受ける人の苦痛もなく安全なため、産婦人科では胎児の診察にも用いられています。
腹部超音波検査で何がわかるのか
この検査で調べられる臓器は多岐に及び、肝臓、胆嚢、腎臓、膵臓、膀胱、前立腺、さらに子宮や卵巣が対象となります。また、機器の進歩もあって、従来調べられることの少なかった食道や胃、腸などの消化管も検査対象となっています。
なかでも胆石、早期肝臓がんの発見に有用です。胆石は、何らかの症状を認めずに、検診で初めて指摘される場合も多く、保有者の約10%は生涯、無症状で経過するといわれています。
胆石などがあっても腹痛や黄疸などの症状が出なければ問題ないので、胆石や胆のうがんを合併する確立は10%以下です。
C型肝炎ウイルスが原因となっている慢性肝炎は、肝硬変や肝臓がんに移行する確率が高いので、定期的な検査で早期の変化をとらえるために、この検査が頻用されています。
どのように行なうのか
腹部を十分に広く出すため、ズボンやスカートは腰の骨位まで下げます。
検査台に仰向けに寝て、両手を頭の方にあげて、手枕をした姿勢をとります。
最初に、皮膚と音波を出す探触子(プローブ)との間に空気が入らないように、腹部にゼリーを塗ります。プローブを腹部に押し当て、肝臓、胆嚢、膵臓、腎臓など腹部内臓器の断面層の画像をモニターテレビでで観察します。検査部位により横向きや座った姿勢で検査を受けます。
この検査は、放射線を使用しないので、被爆の心配はなく、安心して受けられます。
検査時間は部位によって異なりますが、通常10~20分くらいです。
検査を受けるときの注意
基本的に腹部内に空気が多く存在すると、画像がよく見えません。食事の後では消化管内に空気が発生しやすいため、絶食の状態で行ないます。また、膀胱を検査する場合は尿がたまっているほう詳しく観察できるので、検査前の排尿は我慢するようにします。
検査結果の判定
結石は、音波を強く反射します。胆嚢内は、液体があるため黒く写し出され、その中に石があると白い像(高エコー像)に写ります。また、音波は石に反射されるため、石の後方にエコーが伝わらない像(音響陰影)がみられます。
ポリープも白い像になりますが、音響陰影を認めないため、両者を区別できます。
肝臓がんは、肝臓内に腫瘍状の薄い白い像(低エコー像)を示します。
異常があったらどうするか
GOT・GPT、γ-GTPをはじめとする血液生化学検査や腹部CT検査、腹部血管造影などの画像診断、組織の一部を採取して生検(肝生検・膵生検)や細胞診断を行なったり、肝臓・胆道・膵臓の腫瘍マーカー(AFP、PIVKA-Ⅱ、CA19-9、PSTI)検査などをおこない診断を確定させます。
異常な場合に疑われる病気
肝臓がん、肝血管腫、肝硬変、肝嚢胞、脂肪肝、胆石、胆嚢ポリープ、胆嚢がん、膵臓炎、すい臓がん、腹部大動脈瘤など
頚部領域の頚部超音波検査
頚部領域の頚部超音波検査とは
甲状腺、耳下腺、顎下腺等の形や大きさ、内部に病変がないか、頚部のリンパ節が腫大していないか等を調べる検査です。
癌、腹膜炎など、消化器、乳腺疾患でより高度な治療、手術を要する場合は、県立三室病院、社会医療法人 高清会 高井病院、近大奈良病院などの専門医療機関へご紹介させていただきます。