胃部レントゲン検査
造影剤(バリウム)を飲んで、食道から胃、十二指腸までをX線画像にする検査です。胃十二指腸のポリープ、潰瘍、がんなどが発見できます。
部位1 | 部位2 | 所見 | 所見説明 |
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1.食道 | 0.その他 | 1.硬化 | 胃壁のやわらかさがなく、伸縮性が悪い状態 |
2.噴門 | 1.前壁 | 2.壁不整 | 壁・粘膜表面の乱れた状態 |
3.胃体 | 2.後壁 | 3.欠損 | バリウムの陰影が一部写っていない所見 |
4.胃角 | 3.小弯[ しょうわん ] | 4.ニッシェ | 潰瘍等の窪んだ部分にバリウムが溜まった所見 |
5.前庭 | 4.大弯[ だいわん ] | 5.レリーフ異常 | 粘膜のひだ(襞)の走行が異常な状態 |
6.球部 | 6.変形 | 正常像に比べ辺縁の形が変わっているもの | |
7.穹窿部[ きゅうりゅうぶ ] | 7.充満不良 | 十二指腸球部にバリウムが入らない状態 | |
8.幽門 | 8.バリウム抜け | 胃壁の隆起物によってバリウムがはじかれた状態 | |
9.十二指腸 | 9.バリウム斑 | 粘膜の凹んだ部分にバリウムが溜まった所見 |
よく見られる所見 | 所見説明 |
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巨大レリーフ | 胃にある正常のヒダが慢性炎症等によって、太くなった状態です。これ自体が疾患というわけではありません。しかし、自覚症状があるようでしたら精密検査が必要です。 |
びらん性胃炎 | 胃の粘膜に起きた炎症によって粘膜表面に損傷が見られる状態です。 |
慢性胃炎 | 胃粘膜が何らかの原因で持続的に炎症を起している状態です。表層性胃炎から萎縮性胃炎に至るいろいろな段階があります。 |
萎縮性胃炎 | 胃腺細胞の減少をもたらす胃粘膜の慢性炎症です。ピロリ菌感染が続いた後に見られることが多く、年1回以上の経過観察が必要です。 |
ポリープ(疑い) | 胃粘膜が隆起して起こる病変です。ほとんどが良性です。「疑い」の場合は撮影時の気泡等の陰影の場合があります。 |
憩室[ けいしつ ] | 憩室は食道の壁、胃、十二指腸の壁が外に向かってふくれ出て小さな袋を作っている状態です。 |
隆起性病変(疑い) [りゅうきせいびょうへん] |
腫瘍・ポリープなど胃・十二指腸等の粘膜表面が盛り上がった状態です。「疑い」の場合はひだやバリウムのむらによる陰影の場合があります。 |
食道裂孔ヘルニア [しょくどうれっこう] |
食道が通る横隔膜の穴を食道裂孔といい、この穴から本来、腹腔内にあるべき胃の一部が胸腔内に脱出している状態。胸焼けの原因になることがあります。 |
潰瘍瘢痕疑い [ かいようはんこん ] |
胃・十二指腸潰瘍の治った跡を瘢痕といいます。現在は治った状態ですからあまり心配することはありません。しかし、自覚症状があるようでしたら精密検査が必要です。 |
粘膜下腫瘍 [ねんまくかしゅよう] |
胃固有筋層の病変(粘膜の下に出来た腫瘍)により粘膜が内腔に隆起した状態です。 |
瀑状胃 [ ばくじょうい ] |
胃の上部が拡張して背中側に折り曲がった形態異常です。これ自体が疾患というわけでありません。しかし、不快感や重圧感などの症状が続くようでしたら精密検査が必要です。 |
逆流性食道炎 [ぎゃくりゅうせいしょくどうえん] |
何らかの原因で胃酸が食道へ逆流し、食道粘膜に炎症をおこしてしまう疾患です。 |
胃下垂 [いかすい] |
胃の下縁が正常よりも下がっている状態でこれ自体は疾患ではありません。 |
胃角部変形 [いかくぶへんけい] |
通常はU字型をしている胃角部の辺縁が、直線化したり開大化した状態です。胃潰瘍・胃炎・がんの場合もありますので精密検査の指示があれば内視鏡検査を受けてください。 |
球部変形 [きゅうぶへんけい] |
十二指腸球部に潰瘍ができることで辺縁が変形している状態です。 |
食物残渣 [しょくもつざんさ] |
胃の中に摂取した食べ物が残っている状態です。 |
胃バリウム検査より胃内視鏡検査の方が「早期胃がん」の発見率は高く、当院では胃内視鏡検査をお勧めしています。
しかし、胃バリウム検査でも検査条件が良ければ「早期胃がん」を発見することも可能です。
ただし、バリウム検査における早期がん発見率は高くはありません。